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2015年6月13日
おしりのはなし
当クリニックでは肛門疾患の診断から治療を行っています。
肛門疾患には、痔核(いぼ痔)、裂肛(切れ痔)、肛門周囲膿瘍、痔ろう、直腸脱、肛門癌など様々な疾患が存在し、症状も出血、痛み、違和感など様々です。診断には肛門鏡で簡単に診察できるケースも多いですが、大腸癌の検索が必要な時には大腸カメラによる検査も行っています。治療は、保存的治療(飲み薬や坐薬・塗り薬、注射)と外科的治療に大きく分けられ、当クリニックでは保存的治療を中心に行っています。肛門疾患は保存的治療で治ることも多く、早い段階での適切な治療が重要で、保存的治療が難しい病態に対しては、手術の相談も随時行っております。痔だと思っていたら大腸癌もあったというケースも多くあります。おしりの相談なんて恥ずかしいと思わず、お気軽にご相談ください。
おしりのトラブルを予防・改善する食生活のポイント
- おしりを清潔にしましょう:おしりが不潔だと疾患の原因となります。洗浄機能付便座を使用するなどおしりを清潔に保つようにしましょう。
- 便意は我慢しない:便意を我慢することで排便習慣が悪くなります。
- おしりを冷やさないようにしましょう:冷やすことで血行が悪くなります。毎日の入浴でおしりの血行がよくなります。
- 長時間同じ姿勢をとらないようにしましょう:立ちっぱなしや座りっぱなしはおしりの血行が悪くなり、痔の原因・症状の悪化につながります。
- アルコールや刺激物は控えめにしましょう:アルコールや辛い物などの刺激物で、肛門が腫れて痛みが出てきます。
- 便秘・下痢に注意しましょう:便秘を予防・改善し肛門に無理のかからない状態にすることや、消化の良いものを食べるよう心がけ、下痢を予防し、傷に刺激を与えないようにします。
内痔核(いぼ痔)
内痔核は、図の内痔静脈層や、外痔静脈層が膨らんでくる病気で、症状としては出血、脱出、痛みなどの症状があります。飲み薬や坐剤・塗り薬、ジオン注射(図)、結紮切除(図)まで病態により治療は様々です。
裂肛(切れ痔)
裂肛とは、切れ痔の事であり、肛門のところが切れてしまう病気です(図)
治療として、便が硬い場合には、便を軟らかくするお薬を中心に処方し、下痢の方には下痢の状態に合わせて処方します。 食事療法や坐剤・塗り薬での治療です。保存療法で治癒しない場合に手術療法(スライディングスキングラフト法(図)、括約筋切開術(図))を行います。
肛門周囲膿瘍・痔ろう
肛門の歯状線にあるCRYPT(肛門小窩)というくぼみが傷ついて、便に混じっている細菌で炎症を起こし(上段図)、膿をもった状態が肛門周囲膿瘍です(中段図)。おしりの周りが突然おできのように腫れてきて、かなり痛いことも多いですが、表面の変化がない場合や違和感だけのこともあります。発熱することもありますが、切開して膿を出せば治まります。自然に破けることもあります。この膿が切開や自然破裂などで何度も炎症を繰り返し、体内に膿のトンネルできた状態が痔ろうです(下段図)。クローン病や痔ろう癌のこともあり注意が必要です。
治療としては外科的治療が中心で、解放術(上段図)、くりぬき法(中段図)やシートン法(下段図)があります。
直腸脱
直腸脱とは、直腸が肛門の外に飛び出してしまう病気で、痔核(じかく)、粘膜脱(ねんまくだつ)といった粘膜の一部だけの脱出とは異なります。ひどいものでは、反転した直腸が10〜20cmほど肛門から飛び出します。高齢の女性の方に多い病気ですが、若年の方や男性の方でも起こる病気です。外科手術が基本で、おしりから行う手術として、直腸粘膜をつまみ上げてしばる三輪-ガント手術、肛門出口を狭くするティールッシュ手術、直腸粘膜を切除するデローメ手術、直腸を切断するアルテマイヤー手術があります。さらには、開腹(腹腔鏡手術も含め)して直腸が脱出しないように骨盤内に固定する直腸つりあげ固定手術も行われます。
肛門癌
肛門の入り口から約3cmにわたる管状の部分(肛門管)に生じるがんを総称して、肛門がんといいます。大腸がん(結腸がん、直腸がん)に比べると、その頻度はまれです(大腸がんの約4%)。扁平上皮がん、腺癌、悪性黒色腫などがあり、手術治療や放射線化学療法などを行います。